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How To Create Products Customers Love

第6章 プロダクトマネージャーの条件(下)

前回のプロダクトマネージャーの条件(上)7つの資質編に続いて、今回は(下)5つのスキル編をお届けします。

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スキル

プロダクトマネジメントの仕事で成功するためには、重要なスキルがいくつかある。私は、必要な資質を備えている人であれば、こうしたスキルはすべて後から習得できるだろうと考えている。

スキル1:技術を活用すること

有能なプロダクトマネージャーの多くは、エンジニア出身である。その理由の 1つは、よく売れる製品を定義するためには、新しい技術を理解したり、解決したい問題にその技術がどう応用できるかを確かめてみたりする必要があるからだ。

優秀なプロダクトマネージャーになるためには、自分で新しい技術を発明したり使いこなしたりする能力を身につける必要はないが、その技術を理解し、活用の可能性を調べられるぐらいには使いこなさなければならない。

このスキルを身につける方法はたくさんある。講習を受ける、本や記事を読む、エンジニアやデザイナーと話す、といった方法で勉強できるだろう。製品開発チームの先輩エンジニアに、技術の可能性について学ぶ方法を教えてもらおう。また、エンジニアリングチームとブレインストーミングをやることで、新しい技術をどう利用できるかを学ぶこともできる。

スキル2: 本当に大事なものだけに集中すること

「肝心なのは、大事なことを大事にすることだ」、と俗に言われる。世の中には、注意をそらすような邪魔なものがやけに多い。特に、みんなに愛される製品を作ろうとしているプロダクトマネージャーにとっては。どんな時でも解決しなければならない重要な問題に集中し、機能をやたらと増やしたくなる誘惑や、影響力のある社内の人間や客先の声高な要求に屈しない力が必要だ。この力をつけるには、会社レベルでも個人のレベルでも、厳しく自覚して戒めるだけの心構えが要求される。

実際のところ、ほとんどの製品には、どうでもいい機能がついているものだ。その機能がなかったからといって、売上も顧客満足度もたいして変わらないだろう。かえって、その機能がなければ、シンプルになったおかげでもっと多くのユーザーが製品を理解して称賛するようになり、もっといい製品になるかもしれないのだ。大事なものだけに集中することで、ごちゃごちゃとした機能の数を減らし、製品を完成させるまでの時間を短くして、そのうえ市場に製品を届けるまでの時間とコストを減らすこともできる。

スキル3:時間管理

現代のように電子メールやインスタントメッセージや携帯電話が当たり前の世界では、何かに集中して仕事をするには邪魔が多い。そういうわけで、ややもすると、早朝に出社し、1日中食事抜きで仕事に追われ、深夜に帰宅する、ということになりがちで、それなのに、実のところ製品開発にとって重要なことは何も達成できていなかったりする。これは、「緊急」と言われることに追われて 1日を過ごしてしまうからだ。

緊急と言われる事柄から重要なものを素早く見分けられるように習熟することや、自分の時間にうまくメリハリをつけて計画を立てられるようになることは、絶対に必要だ。もし、プロダクトマネージャーが、どうやっても自分のプロジェクトにとって本当に重要な仕事に集中する時間を作り出せないとしたら、そのプロジェクトは失敗するだろう。

私は、週70時間も働き続けて燃え尽きてしまったようなプロダクトマネージャーをたくさん知っている。最悪なのは、彼らに対して、実際のところはやるべきことをやっていないからだ、と指摘したときの反応である。よくある答えは、これ以上時間がないし、これ以上頑張れない、というものだ。そこで、私は、時間管理ともっと利口な仕事の仕方について話をする。すべての会議に出席しなければいけないとか、いつも電子メールに返信しなければいけないとか考えるのではなく、本当に重要な仕事に自分の時間を使わなければいけない。こうした人たちは、やらなくて済むことに時間を使い過ぎている。

スキル4:コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、ほとんどの場合習得可能だが、有能な話し手、書き手となれるまでに何年もかかることもある。けれども、この能力は最初から要求されてしまう。前にも述べたとおり、プロダクトマネージャーは、権威ではなく説得によって人を動かす。つまり、書いたり、話したりすることによって、言いたいことを伝えるのだ。

話す力については面接である程度はわかるが、書く力については、具体的なもので評価する必要がある。私としては、プロダクトマネージャーの候補者に、報告書 (機密でないもの) や、事業や製品の戦略について書いたものをサンプルとして持参させることを勧める。

高いコミュニケーション能力は不可欠だが、母国語以外で話すときのアクセントがおかしいとか、ちょっとばかり文法がおかしいからといって、コミュニケーションが下手ということにはならない、という点は強調しておきたい。相手がわかりやすいように明確に話し、読み手を納得させるように書くことは必要だが、完璧な発音や文法まで求める必要はない。

プロダクトマネージャーは、多くの時間を書類作成に費やしている。電子メール、仕様書、報告書、戦略に関する文書、データシート、競合品評価といったものだ。結果を出せるプロダクトマネージャーは、読まれる必要があると判断するからこうした書類を作るのだ。そして、読まれる書類であるからこそ、説明、教育、説得といったそれぞれの書類の目的をきちんと果たせるものでなければならない。

簡潔明瞭な文章を書けるということは、プロダクトマネージャーにとって日常的に必要なスキルだ。結果を出せるプロダクトマネージャーは、いつも、書いたもので自分が評価されていることを自覚している。特に、経営陣にとっては、場合によっては、プロダクトマネージャーの書いたものが、唯一の判断材料となることもある。

他にプロダクトマネージャーがよく使うコミュニケーションの方法は、プレゼンテーションである。多くの人は、人前、特に、大勢の前でプレゼンテーションをするのが苦手だ。効果的なプレゼンテーションとなれば、もっと大変だ。でも、これは、プロダクトマネージャーにとっては重要なスキルである。というのも、製品の開発から発売の間の重要なイベントの多くで、プロダクトマネージャーは、経営陣、主な顧客、営業担当者といった人たちの前で、短い持ち時間の中で製品とその意義について説明しなければならないからだ。

みなさんもひどいプレゼンテーションを聞いたことがあるだろう。延々とめくられる何枚ものスライド、箇条書きの棒読み、イライラするような小さな文字や意味のない図表、それでもって、何が大事なメッセージでどうして耳を傾けなければいけないのかがよくわからない・・・。こういうプレゼンテーションは、チームのメンバーにメッセージを伝えるのに役に立たないどころか、単なる時間の無駄である。

一方、有能なプロダクトマネージャーのプレゼンテーションであれば、スライドの枚数は必要最小限、自分の製品についてのしっかりした知識と情熱があり、人を惹きつけ、わかりやすく的を射た話しぶりで、伝えたいことを裏付けるデータをスライドで示し、プレゼンの要点やプレゼンの後に出席者にやってほしいことは何かをはっきりと伝える。そして、プレゼンは時間どおりに (あるいは早めに) 終わり、質疑応答もスムーズ。その場ではっきりと満足のいく回答ができない場合は、質問者に対して (その方がよければ出席者全員に対して)、後できちんとすばやくフォローする。ジェリー・ワイズマン (Jerry Weissman) の「パワー・プレゼンテーション」 (グロービス・マネジメント・インスティテュート訳、原題は Presenting to Win: The Art of Telling Your Story) は、プレゼンテーションの能力を磨く上で優れたガイドブックの 1つである。

スキル5:ビジネススキル

最後に、プロダクトマネージャーにとっては、ビジネススキルもまた重要だ。プロダクトマネージャーは、開発チームと社内のその他の人たちとの間の橋渡し役として、財務部門、マーケティング部門、営業部門、経営陣とともに、それぞれの分野の専門用語や考え方を使いながら仕事をしなければならない。

私は、時々、プロダクトマネージャーはバイリンガルでなければならないという話をする。中国語と英語、というような話ではない。プロダクトマネージャーは、エンジニアと技術について話すのと同じように、経営陣やマーケティング部門とは、コスト構造、利益、市場シェア、ポジショニング、ブランドなどについて意見を交わさなければならない。

このことは、多くのプロダクトマネージャーがビジネススクール出身者から採用されている理由の 1つとなっている。製品開発する側としても、ビジネスのわかる人間が必要だと知っているから、MBA (経営学修士) 取得者を連れてくるのだ。私は MBAを持っている優秀なプロダクトマネージャーを何人か知っているが、ビジネススキルというのは、プロダクトマネージャーが成功するために必要なものの一部でしかなく、また、ビジネススクール以外の場でも学ぶことができる。少なくとも、エンジニアがプロダクトマネージャーになってから、本で勉強したり、研修を受けたり、財務部門やマーケティング部門の相談相手から教わったり助言を受けたりして、必要なビジネススキルを習得するのはよくあることだ。

では、どこでこういう人間を見つけるのか?

みなさんは、ここまでに挙げた資質やスキルを見て、そんな人はめったにいるもんじゃない!、と思うかもしれない。確かに、数は少ないだろう。いい製品がめったにないのと同じように。でも、みなさんが採用する人の中でも、プロダクトマネージャーほど重要な役割の人はまずいない。だから、これらの資質やスキルを面接でチェックすることや基準を高く設定することは無意味ではない。

プロダクトマネージャーの採用については、別の考え方をする人たちもいる。多くの企業は、マーケティング部門から引っ張ってくるか、MBA 取得者を雇えば十分と考えている。この考え方は、昔のプロダクトマネージャーの定義であれば正しかったかもしれないが、今となっては失敗の元だ。

多くの企業は、大学でテクノロジーを専攻し、関連業界での実務経験があって、トップクラスのビジネススクールで MBA 取得した人を採用したがる。MBAプログラムがいまだに抱えている問題をきちんと頭に入れた上なら、それでもいいだろう。つまり、トップクラスのビジネススクールでさえプロダクトマネジメントについては教えていないので、最近の MBA 取得者がプロダクトマネージャーはどうあるべきかを理解している、と思い込んではいけない。

プロダクトマネージャーを発掘する方法として私がお勧めするのは、ここで挙げた資質やスキルを持っている人を探し出して、トレーニング、日常的に気軽に助言を受けるためのメンタープログラム、正式な従業員開発プログラムなどを使って、この人たちを有能なプロダクトマネージャーに育てることだ。こういう人材は、実際に社内のどこにでもいるものだ。現に、エンジニアリング、ユーザーインターフェース、顧客サービス、企業向けサービス、マーケティング、営業などの社内のいろいろな部門や、ユーザーであった人たちから、すばらしいプロダクトマネージャーが輩出されてきた。この中には、製品開発にもっと関わりたい、と自分から経営陣に申し出てきた人もいる。また、経営陣が、社内中の優秀な人間の中からプロダクトマネージャーの候補者を探すのもよい。プロダクトマネージャーとしての経験は、経営幹部になるために必要な経験でもある。

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