Inspired日本語版

How To Create Products Customers Love

第9章 プロダクトマネージャーを支えるブレインたち

こんばんわ。

この章では、プロダクトマネージャーが最初にしなければいけないことが語られています。プロダクトマネージャーの仕事は、第1章に以下のように書かれています。

プロダクトマネージャーの主な任務としては 2つある。製品の市場性を評価することと、開発すべき製品を定義することである。通常、新しい製品のアイデアは、あらゆるところから飛び出してくる。たとえば、経営陣、客先との議論、使用感テスト (ユーザビリティテスト) からのフィードバック、製品開発チーム自身、営業担当者、業界関係者などだ。が、次に、だれかがそのアイデアを吟味して、製品化を進める価値のあるものかどうかを判断しなければならない。この目利きをやるのが、プロダクトマネージャーである。

この章では、製品に関するアイデアを自分だけに頼らず、自分の周りの優秀な頭脳を活用しよう、ということが語られています。この章を読んで、ちょっと古いですが、エコノミストのある記事を思い出したので、ご参考までに抜粋を紹介します。

Not invented here, and very welcome
The first is that innovation can come from without as well within. Apple is widely assumed to be an innovator in the tradition of Thomas Edison or Bell Laboratories, locking its engineers away to cook up new ideas and basing products on their moments of inspiration. In fact, its real skill lies in stitching together its own ideas with technologies from outside and then wrapping the results in elegant software and stylish design.
出所:The Economist Jun 7th 2007 Lessons from Apple

この抜粋に書かれていることは、アップル社の強さは、社内からだろうが社外からだろうが、優れたアイディアや技術を活用して、顧客がワクワクするような製品に仕立て上げることにある、と読めます。本章の最後に書かれている、アイデアの出所がどこであろうと、それを製品として実現させるところに大きな価値があり、それがプロダクトマネージャーの仕事なのだ、ということと重なりました。

どうぞお楽しみください。

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第9章 プロダクトマネージャーを支えるブレインたち
社内の賢い人を探し出す

製品開発というのは、そもそも、アイデアで勝負するということだ。すばらしいアイデアを思いついて、それを現実のものとするのが仕事だ。このためには、スキルを身につけて実践経験を積むことが必要だが、その肝心なところについては、人に教えたり人から教わったりするのはどうにも難しい。いいアイデアを見つけるには、賢い人たちの力が必要だ。自分たちチームでいいアイデアを思いつくこともあるだろう。でも、自分たちだけでいいアイデアを見つけようとすると、すばらしいアイデアが潜んでいる領域をうんと狭めてしまうことになる。

おそらく、私が製品開発の仕事を通じて学んだ最大の教訓は、まず会社でいちばん頭の切れる人を探し出すことから始める、ということだ。私の経験では、どんな会社にも、本当に頭のいい人が何人かはいる。そういう人たちを探し当てることができれば、彼らは、会社の潜在力を目覚めさせるきっかけを作ってくれるかもしれない。そういう人間は、思いも寄らないところにいたり、見えないところに隠れていたりする。社内のつまらない人間関係、エゴ、外国人嫌い、自分に自信がない、といったことが原因で、会社にとって役に立ちそうな人たちが埋もれてしまっている現実には、いつものことながら驚かされる。

そういう賢い人を見つけたら、彼らを活かす方法はいくらでもある。私がプロダクトマネージャーなら、彼らは私のブレインだ。時には、みんなにも、私のブレインとして認めさせてしまうこともある。また、彼らをスカウトして、製品開発チームの一員にしてしまうこともよくある。

こういう貴重な人材が会社の中の秘境に埋もれているという話をするために、私が経験したおもしろい実例をいくつかご紹介しよう。登場するのはすべて実在の人物だが、名前だけは変えさせてもらった。

サム サムの能力に気づくまでには、思いのほか時間がかかった。彼の上司が彼のことを悪く言い続けていたからだ。ところが、まもなく、無能なのは上司の方だということがわかった。その上司は自分に自信がなかったので、サムの頭脳に恐れを抱いていたのだった。サムは、そんな上司のもとで、能力を認められず、活躍の場を与えられていなかっただけではなく、なんと降格まで食らっていたのである。今や、その上司は過去の人となり、サムは、私が知っている中でも最高の製品開発リーダーとして活躍中である。

クリス クリスと出会ったのは、私が ヒューレットパッカード (HP) にいて、顧客訪問のサポートで出張していたときのことだ。HP の営業担当者が現場の状況を説明するのだが、それがどうにも要領を得ない。とうとう、見かねたシステムエンジニア (営業スタッフに技術的支援をする人) が、その状況を見事に説明してくれた。その顧客がこのシステムエンジニアに一目置いていることもわかった。その後、私は彼を飲みに誘った。たちまち、彼がものすごく有能な人間であることがわかった。彼に、なんで中西部の片田舎に引っ込んでシステムエンジニアをしているのか、と聞くと、家族がこの地域に住んでいること、他の場所で働こうなどと考えたこともないこと、ここで見つけられる中でもいちばんいい仕事に就けたことなどを理由に挙げた。すぐに、私は、クリスをご意見番にして製品の構想を練ったり、クリスからヒントをもらって製品のアイデアを探したりするようになった。その後、説得するのにえらく時間がかかったが、ついに彼を引っ越させることに成功した。今では、彼は、フォーチュン500 にランキングされる会社のゼネラルマネージャーになっている。エンジニアは、利用できる技術が何かを見抜くのに優れていることが多く、現場で育った人は、顧客のニーズを見抜く力を身につけることが多い。クリスの場合、この 2つが結びついたことで、ユーザーの抱える問題だけでなく、その解決策に至るまで、卓越した洞察力を発揮できるようになったのだ。

アレックス 案外よくあることなのだが、アレックスは、エンジニアリングチームの一兵卒としてひっそり働いていた。彼は、恥ずかしがり屋で内向的、しかもさほどの野心も持っていなかった。でも、彼は、信じられないくらい頭が切れる男だった。技術を非常によく理解しているだけでなく、製品に関する天性のセンスを持ち、いろいろな分野の技術トレンドを理解していて、ユーザーエクスペリエンスについてはいつもいちばんの手腕を披露していた。アレックスが優秀なエンジニアであることはだれもが認めていたが、それ以上の能力が潜んでいると思っている人はいなかった。ところが、アレックスの才能は、製品開発でも同じくらいにすごかったのだ。何でもこなせる人などそうそういるものではないが、彼は、そういう稀有な人間の 1人だった。彼は、一度も製品開発チームの中で働いたことはないが、社内でいちばんいいアイデアを出せる人間の 1人であり、主要な製品のほとんどで、開発するかどうかの決定の前に意見を求められていたのだった。そのおかげで、会社も、開発された製品も、さらに優れたものになった。

マット そうあって欲しくはないのだが、ビジネスの世界にも多くの差別が存在し、ハイテク業界もその例外ではない。そろそろなくなってもおかしくはないと思っていた差別の 1つに、若さによるものがある。マットは、おそらく、私が一緒に働いたことのある中ではいちばん頭脳明晰な人間だ。彼は、十代で大学を卒業し、その後も、その才能は決して衰えることはなかった。それなのに、私がマットに会ったときには、周りは見事といっていいほど彼を活かせていなかった。彼の上司には、そんなに若い人間に大きな責任を持たせるなど、考えることすらできなかったからである。これはとんでもない間違いだった。マットは、会社を飛び出し、共同で会社を起こした。この会社は、何百万もの人々の生活に役立っている。

ミラ 彼女の場合は、二重のハンディがあった。女性でインド人。騒々しくて、野郎ばかりで、技術屋が幅を利かせる業界で、女性は見過ごされやすい。また、インド人は、文化的な背景もあってか、一般的に、権威に対しては沈黙し、上司や同僚などに逆らおうとはしない。それでも、ミラが職場のどの男どもよりも頭がいいことは、すぐにわかってきた。そして、ミラを殻から引っ張り出して活躍の場を与え、彼女が製品開発のリーダーとして頭角を現すまでに、長い時間はかからなかった。中国人でも、同じような話を知っている。優秀な人を覆い隠してしまうような文化的な規範や、あなたの視界に入っている人を見落としてはならない。それは、まさに、あなたが製品開発のために探している頭脳の持ち主かもしれないのだ。

最高の製品マインドとでも言うべきものを持った人は、時として、目の前にいることもある。創業者が製品開発で大成功を収め、今、あなたはそこでプロダクトマネージャーとして働いているとしよう。その成功をもたらした創業者は、今となっては、CEO や会長になっていて、あなたの製品開発チームのメンバーが直接話せる相手ではなくなっているように見えるかもしれない。そして、その創業者がよくできた人なら、おそらく現場に入ってきて細かく口出しすることはしないはずだ。でも、それは、製品開発チームを支えるつもりがないということとは違う。製品開発を成功させた創業者が健在であるという恵まれた状況にあるなら、彼らといつでも話せるように工夫して、あなたの製品計画についてフィードバックやアドバイスをどんどんもらうようにしよう。たいていの場合、彼らは、喜んで協力してくれるはずだ。そういうすばらしい財産が手の届くところにあるなら、何としてもそれを活かさない手はない。

結論を言えば、ここで例として挙げたような逸材は、エンジニアリング、営業、顧客サービス、企業向けサービス、経営陣、あるいは取締役会メンバーの中など、いろいろなところに隠れている。彼らを探し出すのは、プロダクトマネージャーの役目だ。では、具体的にどうしたらいいのか。

・ とにかく人に聞く! 社内のあらゆるレベルの人たちに、本当に頭のいい人はだれかを尋ねてみる。その答えには驚かされることも多い。
・ 社内を歩き回る。HP流の経営論に、社内をぶらついて現場の声を聞くことが重要だという考え方がある。マネージャーは、自分のオフィスやデスクから抜け出して、会社中の人たちと会話するべきだ。堅苦しい打合せではなく、気軽なおしゃべりがいい。これは簡単にできるし、実際役に立つ。
・ ミーティングでのやりとりや会話によく耳を傾ける。
・ ドアを開けたままにしておく。製品についての提案にはいつでも耳を傾ける用意があることを、みんなにはっきりと示す。
・ 共有する。自分が困っている問題をだれかと共有すれば、それは他の人たちに伝わり、だれかがやってきて何か提案してくれるかもしれない。
・ いろいろな人とつきあう。たいがい、プロダクトマネージャーは他のプロダクトマネージャーとつきあい、役員は他の役員とつきあう。でも、それにとどまらず、会社のいろいろなレベルの人とつき合う努力をすれば、社内でどんなことが起こっているのか、隠れた人材がだれなのか、といったことがもっとたくさん耳に入ってくるだろう。

最後に。多くのプロダクトマネージャーがこういうことをやろうとしないのは、彼らの独りよがりだ。彼らは、すごいアイデアを出すのは常に自分たちでなければならず、もしだれか他の人がそれをやったら、自分たちの存在価値なくなってしまう、と思い込んでいる。私はといえば、自分でいいアイデアを思いつくこともあるけれど、それよりも、他の人からヒントやアイデアの核心部分を授けてもらう方が多い。それでも、そのアイデアのすばらしさを見抜き、それを形にするのは、プロダクトマネージャーの仕事なのだ。会社にとっていちばん大切なことは、すばらしい製品を世に送り出すことに尽きる、ということをくれぐれも忘れないように。それを実現するために手助けとなるものは、すべて価値があるものなのだ。

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